ずぶ濡れのあいらぶゆーー!!

不器用な僕なりに君に全てをあげる

それいゆ?1幕 〜あなたは美しく生きてますか?〜

 

それいゆ全13公演お疲れ様でした( *´꒳`*)੭ということでそれいゆについて、中原淳一について、桜木高志について書き残しておこうと思います(笑) 

 

ーこれは、一人の詩人の物語。ー

太平洋戦争の混乱期、雑誌『少女の友』の挿絵で、戦時下の少女たちに夢と希望を送り、戦後「それいゆ」「ひまわり」の出版により焼け跡の復興に生きる女性たちに光を与えた男

その名は・・・中原淳一(中山優馬)

 戦中戦後の暗い時代に大輪のひまわりが咲くかの如く色あざやかに綴られた想い‥‥‥…

『美しく生きる』というメッセージを”信念を持って生きる”ことが難しい、今の時代に問いかける。

『あなたは、美しく生きていますか?』

 

 

  • 物語冒頭

もしこの世の中に風に揺れる 「花」がなかったら、人の心はもっともっと、荒んでいたかもしれない。

もしこの世の中に「色」がなかったら、人々の人生観まで変わっていたかもしれない。

もしこの世の中に「信じる」ことがなかったら、1日として安心してはいられない。

もしこの世の中に「思いやり」がなかったら、淋しくて、とても生きてはいけない。

もしこの世の中に「小鳥」が歌わなかったら、人は微笑むことを知らなかったかもしれない。

もしこの世の中に「音楽」がなかったら、このけわしい現実から逃れられる時間がなかっただろう。

もしこの世の中に「詩」がなかったら、人は美しい言葉も知らないまま死んでいく。

もしこの世の中に「愛する心」がなかったら、人間は誰もが孤独です。

この詩を残した人、中原淳一のことを皆さんにお話ししたいと思います。国民みんなが戦争に怯えていて、生きることに精一杯だったそんな色の無い時代に淳一先生だけは考えていたわ。美しさとは何か。お洒落とは何か。豊かな生活とは何か。を...。これはその人生をかけて美しく生きるとは何かを追い求め続けた中原淳一の物語です。向日葵のように鮮やかで、その実、誰よりも苦労して、不器用に生き続けた一人の男の物語。

 

完璧な造形美を作成する彼、中原淳一をバックにこのように語られていく。

 

 

  • 天沢との出会い

大河内舞子(桜井日奈子)が天沢栄治(JONTE)を中原淳一の元に連れて行く。初めは中原の異様さにドギマギして、戦時中を理由に下を向いてばかりで、自分が夢としていた歌うことすら辞めてしまった天沢に中原は言う。

「歌えばいいんだよ、天沢くん。歌いたいなら、歌えばいい。ご時世なんて関係無い。自分自身の夢を妥協することなく追い求めること。大切なのはただそれだけだ。」

この言葉を受け取った天沢は歌い、それを聞いた中原も天沢に惚れる。また、天沢も中原の生き方に感銘されていくのだ。

また、このシーンではもう一人大事な人がいる。それは紛れも無く桜木高志(辰巳雄大)である。桜木は中原のことを心から尊敬し、大好きで、中原の想いを少なからず理解できなくてもそれでも大好きな心と尊敬から寄り添っている、中原の良きパートナー。この時点では天沢に嫉妬心も抱いていない。まだ中原を一番理解してあげているのは”俺”だと思っている。

中原と桜木の関係性の良さは会話の節々からくみとれる。ブランデーとハチミツをかけた一番理にかなったイチゴを舞子と天沢に振る舞う時も桜木に持ってきて貰い挙句自分が摘んで食べてしまい、桜木に「ダーーメ!お客さん用ですよ」って言っている辺りは本当に微笑ましい。拘りの白い靴を桜木に見せて2人でしろーい!って言ってる辺りも愛おしい。

 

  • 『少女の友』からの撤退

戦時中、中原の描く絵は「適性文化であり、華美ゆえに時局に合わない」という判断を受けてしまう。そのため「少女の友」編集部の山崎(佐戸井けん太)と担当者の元内弥生(青山郁代)は中原にもんぺ姿の少女を描くように告げる。しかし中原は自分自身の信念や拘りのためこの提案を拒否し、「少女の友」に挿絵を書くのを辞めてしまう。

「僕がワンピースやスカートを履いた少女の絵を描くのは、贅沢禁止令の中で少女たちに少しでもおしゃれをすることの楽しさを感じてもらうため。もんぺ姿の少女を美しく描くことは出来るがそれは彼女たちにとっての日常。そんな挿絵を見て夢を見ることが出来ますか?」と問いかけた後「美しさや個人の夢まで奪わなきゃ勝てないなら、こんな戦争負けたっていい。」という言葉を残している。中原にとっての夢を見ることの大切さや、美しさ、個人の尊重をとても上手く表しているな〜っと思う。

最後に自分のことをよく理解してくれたと元内に自分の下絵を渡すあたり、中原が愛に溢れた人だとわかる。

 

  • 舞子との絶交と五味

五味から新しい「少女の友」を貰い、読む、舞子。しかしそこには中原淳一の挿絵は載っていなかった。舞子にとって「少女の友」に乗っている中原の挿絵こそが生き甲斐だったのにそれが無いと知った舞子はアトリエに向かう。

アトリエでは中原と桜木が次の仕事のために忙しくしていた。といっても忙しくしているのは桜木だけ(笑)ここで中原と桜木のアドリブが入るのだがそれがなんとも微笑ましい。「桜木くんイチゴを食べよう。」「下絵の修正今すぐして。」「お花買ってきて。」っていうように中原に使われながらもそれが嬉しい?桜木は「頑張ります。」と引き受ける(笑)可愛い。

そんなやりとりの最中に舞子はやってくる。そして「『少女の友』で挿絵を描いてよ!!先生あのね、私この前の防空訓練の時に両手いっぱいに少女たちの友と付録を抱えて逃げ遅れたの。そしたら父親にお前は雑誌と命どっちが大事なのかって怒られたの。それぐらい私にとっては大事なの。」と彼女にとって命よりも大事な中原の挿絵。どんだけ戦時中の彼女らの夢であり、楽しみだったのだろうと思わせられる。だが、中原の答えはノーだった。中原の描きたい絵を描くことが出来ないからだ。自分の気持ちを曲げて妥協した絵なんて描けない、と伝える。そして痺れを切らした舞子が言う。「私だって我慢してるのよ!先生だって我慢してよ!我慢して『少女の友』で挿絵を描いてよ!!!!!」けどそれをすることは中原にとって自分の信念を曲げなければいけないことであり、美しい生き方とは反するもの。故に中原は舞子に別れを告げる。

 

そしてここで五味の登場だ。五味は中原淳一の偽物、所謂偽順と言われるものを扱っていた。そんな偽物を作り続けている五味は中原に伝える。「例えば、この花の周りに似たような造花をたくさん並べる。その辺を歩いてる連中にどれでも好きなものを持っていって良いと言うと、この花を選ぶ人はいますかね?あなたの作るものは素晴らしい!当たり前だ!本物なんだから!でもね、先生。世の中には偽物だと分かっていてもそれで構わない、満足だ、という輩がたくさんいるんですよ!だからわたしの商売が成り立っているんだ!本物は見向きもされなくなったら終わりです。でも偽物にはそんなこだわりは無い。またそのとき流行ったものを作ってじゃんじゃん売ればいいんですからね!」

その通りだ。今の世の中本物を求む人はどれぐらいいるのだろうか?五味の言っていることは今の時代を象徴している。

 

 

  • 天沢と中原

中原は天沢に問う。僕が『少女の友』の挿絵を書かないと知ってどう思う?すると天沢は言う。僕はもう時代のせいにして下を向くのはごめんです。これが中原の心に響いたのだろう。天才同士の心の共鳴があったのだろう。中原はこのまま自分の部屋に天沢を案内する。

そして、この時桜木は天沢に負けたのだ。「桜木くん、今日はもういいから。」桜木は中原に何かを頼まれるのだと思い期待して中原を見るも中原はこう告げた。桜木はまだ中原の部屋を見たことなかったのだ。奥に何があるか気にする素振りがそれを示している。

そして天沢はこの部屋に案内され、完璧な造形美を見せられ、中原が置かれている状況下に感化された天沢はさらに中原にのめり込んで行き、生涯、中原淳一の生き様を見届けることを約束する。

 

  • 『ヒマワリ』の開店

店の前で五味と天沢が出会う。そこで天沢が先生の何がわかるんだ!と五味に伝えると、五味は聞き返す「あの人のことを誰が理解してあげられるんだ?」と。

 

  • 中原の葛藤

彼は少なからず後悔をしていたのだろう。もんぺ姿の少女を書かず『少女の友』から撤退したことを。舞子と絶交したことを。時代の流れに抗ったことを。「後悔はしてない。僕には僕のやり方がある」と言うものの、彼は悩んでいた。そこで明らかになる中原の本音。「どれだけ仕事をしていても、どれだけ作品を手掛けてもこれでいいと思えない。止まれないんだ。」妥協の出来ない中原の悩み。それは誰も理解してあげられないのだ。そう、五味の言ったように彼の全てを理解してあげられる人は居ないのだ。

 

 

 

1幕は戦時中のため時代に削ぐわないものの、おしゃれを描く中原淳一は少女たちの希望や夢となった。そして2幕。時代は戦後を迎える。戦後、少女たちは物が溢れた時代に突入する。そんな時代を迎えた時、自分の拘りを貫く中原淳一はどうなってしまうのだろうか。手を伸ばせば色んなものが手に入る時代に中原淳一は少女たちの希望や夢になれるのだろうか....?

 

続く(笑)