ずぶ濡れのあいらぶゆーー!!

不器用な僕なりに君に全てをあげる

傘を持たない蟻たちは

久々に現れて何を書くかと思えば、本の感想です(笑)いや、本の感想なんか書く気なかったんです!なかったんだけど!読んでみたら最高すぎて思うことがありすぎて書かずにはいられなかったんです(笑)そんな最高の本は何かと言うと「傘をもたない蟻たちは」ですよ!!あのNEWSの加藤シゲアキの書いた小説です!!!!

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そもそもなんで今更読んでみたかと言うと知り合いに借りて聴いたNEVERLANDの中に入ってたシゲのソロのあやめの歌詞がわたしのタイプ過ぎて歌詞カード見たらシゲが作詞しててこれは本も呼んだら面白いんでは!?って思ったのがきっかけなんですが、想像通り面白かった!まじでもっと早く加藤シゲアキという作家に出逢って居たかったと思わせて来たからほんと加藤シゲアキ凄いよ!???(わたしなんぞが言わなくてもみなさんわかってるであろうがw)ってことでネタバレ有りでどんどん思ったこと書いてく!!!

 

 

 

 

 

⚪︎染色

話の種類としては恋愛。彼女がいながらも独特の感性(カラースプレーを腕に吹きかけたり)を持つ美優に興味を持って行き、そんな彼女の色に染められて行く文登の流れが好きで、彼女の色に少しでも染められたにも関わらず、結局美鈴と一緒の道を選ばず(選べず?)その結果自分自身すらわからなくなって、美優のアパートで自慰する文登には染められたはずの色はこれっぽっちも残っておらず、美優と過ごした日々の足跡すらも残ってなくて、結局美優と過ごした日々は?夢?幻想?ってなってる、文登が戻ったのは現実で付き合っていた彼女であった。っていうこの流れが大好きでした。

「彼女の色が僕に付く度に、自分も彼女だと同じだという気になれた。」「色褪せてもなお、彼女の色は刺青のように身体中に深く刻まれている。なあ、そうだろう美優。なのにどうして見えないのだろう。あの日々の色彩はいったいどこにいってしまったのだろう。」

最高に素敵な文章じゃない?この文章たち。刺青のように刻み込まれてたはずなのに、すーっと消えていってしまう儚さと切なさの表し方が好き。色でこんなにも人に堕ちていく様と空な様を描けるシゲの能力に脱帽です(笑)

 

 

⚪︎Undress

これまた度肝を抜かれたよ。題名通り「脱ぐ」がテーマな訳ですが、サラリーマンを脱ぐ、つまり脱サラしたい主人公大西のお話です。そんな脱サラを目標としている大西には社内に彼女がおり、恋愛も仕事も絶好調。むしろ最高の脱サラをするために必死に働くという考え方の彼。まず、この考え方すごくない???文章の中に、最高の「脱」に必要なものは何か。それは最高の「着」であるってのがあるんだが、妙に納得がいき、そうだよな!って思わせられ、そう思ったの同時に大西のことを理解した気になっていた。まあそんな最高の「着」をした大西は見事脱サラに成功し、念願であった最高の「脱」をすることが出来た!めでたし!とはいかないわけで、そんな脱サラした考え方大西がまず最初に直面したのは彼女のリサが別に彼氏がいたという最高に衝撃的な事実。あの彼女もちゃんといて恋愛もちゃんとしているリア充な感じから一転し、彼のことがわからなくなってきたタイミングである。そして読み進めていくと大西が左遷させた人と浮気してて、しかも大西の下に居たはずの小金井は社長の息子だったっていう順風満帆、自信満々で会社のために仕事していた彼が一転して落ちて行く感じがたまらなく好きだった。そしてボケたおじいちゃんが放ってた「おーにーばーばー」がまさかそんな意味なんて...!後味悪い!でも好き!!!最後の最後に転職がうまくいき「あぁ、また着るのか。」という、Undressしたはずなのに結局また着なければいけないというラスト最高!!!!!

 

 

⚪︎恋愛小説(仮)

これも大好きなやつ。小説家が200文字以内で女性のことを描くとそれが夢の中で実現される物語。昔の恋の久米島ユキエちゃんへの想いを取り返すかのように夢の中であってるんだけど、それは結局死んだ相手のやりたかったことをやっているように見えて実は自分のエゴで、ユキエちゃんを使った人形遊びっていう一言に度肝を抜かれた。妄想される対象のアイドルがそれを書いている。それだけでこの物語は大好き(笑)

 

 

⚪︎イガヌの雨

グロめで苦手な種類ではあったけど、面白いSF小説であった。3つ目の想像するだけで気持ち悪いイガヌを人々は食べていた。食べた瞬間に甘ったるい匂いが鼻をかすめ、心地よい痺れが全身を走り抜け、多幸感が染み入るように支配して行く食べ物イガヌは本当に人体に害はないのだろうか??外見はなくてもドラックそのものにしか見えないイガヌは人間を内側からダメにして行くものなんだろうなあって思ってしまった。イガヌは食べるな!と言っていた祖父の教えを破って食べてしまって祖父と喧嘩してしまい、その間に祖父は死去してしまい、祖父の葬式には祖父が大嫌いだったイガヌが料理として出てくる。そしてみんながそれを喰らう。美鈴にとっては辛かっただろうな....そして祖父がイガヌを嫌いだった理由。まさに今の日本でも変わってきている食の変化そのもので物凄い考えさせられた。そして心を入れ替えた美鈴が祖父の葬式に出てきたイガヌを見て逃げ出したにも関わらず、最後にの最後にイガヌが部屋に来て、目があった瞬間に唾液が滲み、ごくりと喉を鳴らした、っていう一言に全てを持ってかれた。やはり、イガヌはドラッグ的な要素を持った内面から壊して行く食べ物だったのだろうか....???

 

 

⚪︎インターセプト

これまじでやっばい!好き!!!大好き!!!女を落とそうとしていた男が居て無事落とせた!いえーーい!って話なのかと思いきや、実は全部女の掌の中で転がされてたって最高に面白くない????しかも女は男のストーカーだったって最高に面白い!!シゲアキさん天才かよ!!!!!これも最後の「わたしのことは捨てないでね」に恐怖という名の面白さを感じて、まじでシゲアキさん天才かよ!!!って思った瞬間でした(笑)

 

 

⚪︎にべもなく、よるべもなく

これもよかった...!泣けて来た。青春物語ですよね。友達のことを頑張って受け入れようとして行くけどやっぱり男が男を好きっていうのは受け入れなくて気持ち悪いってなってる主人公がとてもよかった。そしてその気持ち悪さから友達を避けるようになり、ある女の子の初めてをレイプ間際な感じで奪い去り、それもまさに自分のエゴでしかないSEXで、あーー、若いなあって思わせられた。そしてそんな自分が汚く見てて来た主人公がカビに覆われるって表現がとてつもなく好きでした。おっちゃんの話して居た「喜びは有限。悲しみは無限。ただ出来事として受け入れる。」って言葉に少なからず加藤シゲアキを見た。そしてこの言葉を読んでからわたしはこの言葉に割と救われている...

 

 

 短編小説集でわたし全ての短編小説を面白いって思ったことないんだけど、このシゲの短編小説集は本当に全部面白くて、後味悪くて(いい意味で)でもUndressなんかは救いがあったりして、加藤シゲアキっぽいなあって思うところもあったりで、本当に面白かった!!!!もっともっと加藤シゲアキの描く物に出逢えていたらって思えた作品でした。なので次からの作品楽しみにしてますね!シゲアキさん(笑)